好きなパン屋さんで、桜あんぱんがありましたよ。あんぱんは、なぜ桜の塩漬けをトッピングするんでしょうね。そしていつ頃から食べられてるんでしょう。調べたら優しい春のエピソードがあったのでご紹介です。
4月4日は「あんぱんの日」
お気に入りのパン屋さんへ行ったら、桜の花びらの形の「桜あんぱん」がありました。
キメが細かそうなしっとりした生地。切れ込みから綺麗な「桜餡」が見えて、ますます手に取りたくなります。職人さんのアイディアですね。
あんぱんといえば、塩漬けがよくトッピングされてますがなぜでしょう?いつごろからあんぱんが世に出たんでしょうね。
塩漬けの香りと効能
あんパンのトッピングには桜の塩漬けが使われている。「塩漬け」にされると糖が分離してクマリンが生成され甘い香りを放つ状態になり、リラックス効果を引き出す作用がある
引用:桜の香りの効能
この桜の成分「クマリン」は血液をサラサラにして、血行を促進する作用があるんですって。生の花や葉からは甘い香りが出ないそうです。
桜を塩漬けにして「春」を丁寧に楽しむという発想が、なんとも日本らしく繊細で風流。
そして、あんぱんがいつごろから世の中に出たんだろうかと調べてみました。
あんぱんの始まりは明治7年
出典:4月4日 あんぱんの日 | あんぱんなら銀座 木村屋總本店
あんパンは木村屋(現・木村屋總本店)創業者であり茨城県出身の元士族・木村安兵衛とその次男の木村英三郎が考案し、1874年(明治7年)に銀座の店で売り出したところ好評を博したとされる。
翌1875年(明治8年)4月4日、花見に行幸した明治天皇に山岡鉄舟が献上し、木村屋のあんパンは皇室の御用達となった。これにより、あんパンと共に木村屋の全国的な知名度も上がった。以降、4月4日が「あんぱんの日」となっている。
140年ほど前から愛されているパンでした。山岡鉄舟が明治天皇に献上したことがきっかけなんですね。なぜ天皇に献上することになったのかを調べてみたら、山岡鉄舟(以降、鉄舟と呼びます)とパン職人親子との温かみを感じるお話があるのです。
山岡鉄舟が愛したあんぱん
鉄舟は、あんぱん作りに熱中していた木村親子に試食をすすめられたところ、その美味しさに感動します。
西洋から入ってきたパンとは違う「酒種」を使い、その生地であんを包み焼き上げるという技術が、鉄舟の心をとらえたそうです。
木村親子は、日本を象徴する国花で季節感を表現できる「桜」に目を向けます。奈良の吉野山から八重桜の花びらの塩漬けを取り寄せ、あんぱんに埋め込みました。
その桜あんぱんを「陛下に召し上がっていただこう」と献上する事になったわけです。鉄舟は木村親子の努力を暖かい目で見守ります。そして木村親子の成長が嬉しくなり、同じ年に「木村家」の看板を書いて贈ったんですって。
コレですよ▼
山岡鉄舟といえば、幕末で活躍した方でしょう?武術の達人でありながら、人を全く斬らず動物への殺生をも戒めた優しい人だと聞いています。
新しく立ち上げたパン屋さん親子の努力を温かく見守って天皇に献上し、看板を書いて贈ったなんて。
しかも。す、すてきなお姿なのですね。
この表情にドキッとしてしまいます。鉄舟は木村屋のあんぱんが好きで、毎日食べていたそうですよ。
約140年前の4月4日。天皇に召し上がって頂く事になった時、パン職人親子はどんな気持ちだったでしょうね。認められるかどうかドキドキしていたでしょう。立ち上げたばかりのお店のチャレンジですからね。
そして、やっぱりその頃も桜の花びらが舞ってたんでしょうか。そんな事を想像すると、桜あんぱんが一層美味しく感じそうです。
八分咲きの桜を眺めてそんな事を考えました。