私は喫茶店などで、周囲をぼんやり眺めるのが好きです。季節の移り変わりのゆったりとした景色とは反対に、忙しく動く車や街、人々の活気あふれる様子に元気をもらったりします。先日、そんな中で小さな気付きがありました。
太陽と月はお互いに相手を引き立てる
聞き耳を立てているわけではないんですが、隣のテーブルの会話が聞こえてしまう事がありますね。年配ご夫婦の会話でした。これがとても良かったのです。
妻「あなたはいつも、先頭きって明るくまとめてるわよね」
夫「いや、俺自身は実は暗いんだよ」
妻「そうかしら。いつも場を明るくしてるじゃない?」
何かのサークル幹事なのか、先生をしているのか・・・。明るいご主人なのでしょうか。それを奥さんが認めてるという様子。私は目の前のホットケーキを、細かく切りつつ聞いていました。
夫「いやいや、俺はさ、太陽と月でいったら「月」なのよ。」
妻「月は十分明るいじゃない?」
夫「いや。違うね。月は明るくて夜道を照らしたり、みんなからは注目されやすい存在だよな。だけど、実は自分のチカラじゃ輝けない。太陽がいなきゃダメってこと。」
夫「太陽はいつも明るいだろ。でも夜は身を隠す。ずっと出しゃばってるわけじゃない。嫌味が無いんだよな。そういうヤツ尊敬する。俺は太陽のお陰でやってこれてるんだよ。」
妻「○○さんのこと?」
夫「そう。持って生まれた明るさがある。あいつのお陰で俺は頑張れるんだ。」
私は思わず深く頷きました。太陽と月。そうだ。そうですよっ。人それぞれ「役割」があって、持って生まれた素質があるのです。そして、お互いが支え合って認め合っている。
なんて素敵なんでしょう。目先の事ばかりとらわれてすっかり忘れていました。
見えないチカラの声
人は困った時や落ち込んだ時、こうやってさりげなく、他の人の声を通して耳に入ることがありますね。見えないチカラがあると聞いた事があります。
それがご先祖様なのか、神様なのかは分かりません。
だけど後で思うと「あ、あの時のあの言葉」と思うことって、誰にでもあると思うんですよね。見えない何かの助けというか。その言葉で救われること。まさに今日もそんな感じでした。
単なるご夫婦の会話で、他の方が聞いたら別に気をとめる事でもないと思います。だけど、今の私には大きな気付きでした。
可能性に気が付いていないだけかもしれない
私がいつも、穏やかな季節の移り変わりと、忙しい街の動きという反対の姿にほっとするのも、お互いが馴染んでいるからかもしれません。
まるで違うのにどこか馴染む関係。そういうのいいなと思いました。
食事が終わり席を立ち、ご夫婦を見たら・・・
窓辺側にほおづえして珈琲を飲むご主人が、なんとも穏やかな表情で笑っていました。窓から差し込む柔らかい陽射しに溶け込んでいましたよ。小春日和の優しい太陽のよう。
ご本人はご自身を「月」だと思ってるけど「太陽」なんじゃない?と思ったりして。人は色んな面を持っているから、自分の可能性に気が付いていないだけで「月」も「太陽」も持っている生き物なのかもしれません。
素敵なご夫婦ですよね。こんな会話がサラッと出来るなんて。
大人世代のご夫婦の会話というのは本当に良いもので、お二人の年輪というか、色んな事に気づきがありますね。素敵な会話をありがとうございます。(心の声が届きますように)